パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 わたしはルイの手をほどくと、自分から彼の首に両手を回して(すが)りついた。
 そして言った。

「好き……」

 彼の手がゆっくりとわたしの背に回ってきた。

「本当はルイのことが好きで好きで困ってた。だから出ていこうと思ったの。なんでもないふりして一緒にいるのが耐えられないぐらい好きになったから」

「それなら私も同じだ。かなり苦行だったよ。好きだと自覚して今日まで、薫が欲しくてたまらなかった」


 ルイのストレートな求愛に、わたしの顔は真っ赤に染まってゆく。
 その言葉が、その熱っぽい視線が、わたしの頬を(ほて)らせる。
 
 あー、また熱が出ちゃうかも。
 
「では承知してくれるね。薫。我々が本物の婚約者、真の恋人同士になることを」

 彼の首筋に顔を埋めたまま、わたしは「はい」と答えた。
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