パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます

　自分でも驚くほど、嫉妬した。

　私のものだ、薫は。
　誰にも渡すものか。
　そうした気持ちがむらむらと沸き上がってきて。

　まるで初めて恋を知った少年のような、切実で一直線な欲望にとらわれ……
　もう、薫への想いは後戻りできないところまで来たのだと、認めざるを得なかった。

　薫……
　純粋に夢を追うひたむきさを持ち、
　曲がったことが大嫌いで、
　他人を思いやる優しさの持ち主で。

　彼女の美点を心のうちで数えあげながら、私は悟った。
　考えても、答えがでるはずないのだ。
　恋は頭で考えてするものではない。

　自分の意思とは関係なく、全身全霊で相手を欲してしまうものなのだと。