パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます

8・パリコレの夜

 初めて愛を交わしてからというもの、ルイはとにかくわたしを甘やかした。

 ソファーで隣に坐っていたはずなのに、いつのまにか膝の上に抱き上げられてたり。
 キッチンで急に後ろから抱きしめられたり。
 寝るときはもちろん、一晩中、ルイの腕のなか。

 なんだか、ルイの飼い猫にでもなった気分。
 
 今朝も……
「う……ん、ルイ。もうだめ。時間が……」

 玄関先の壁に押しつけられて、もう長いことキスされている。

「ずっとこうしていられればいいんだがな。会社も学校も行かずに」
 耳元で、あの、くらくらするほどの渋い声で囁かれる。

 思わず、こっくり頷いてしまいそうな、魅力的なお誘いではあるけれど。

「だめだって……学校に遅れちゃう」
 そう言って、なんとか誘惑を振り切って家を出た。
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