パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「ベルナルドさん、あの御趣味は?」
 ママったら、もうちょっと空気読めば?
 そんな質問、意味ないって。
 この人に会うのは、どうせ今日限りのことなんだから。

 でも、彼は律儀に答えている。

「そうですね。ゴルフ、テニス、乗馬、バイオリン……たしなみとして一応のことはできますが」

 たしなみとしてだってぇ? 
 ほんっとに、気障(きざ)な奴。

「でも、今日からもうひとつ、新たな趣味が加わりそうだな」
 
 彼はわたしに視線を移した。
 そして、ちょっとだけ口の端を歪めて笑うと、言った。

「『じゃじゃ馬ならし』がね」

 はい?

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