パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 今思えば、彼女を自分に惹きつけておきたいという気持ちもあった、ルイは言った。

「私も若かったからね。それが彼女の気持ちをどれほど縛りつけることになるか、気づかなかったんだ」
 
 けれど、田舎とはくらべものにならない、華やかで充実したパリ生活に、若いルイは完全に魅了された。

 勉強に遊びにと、忙しく日々を過ごし、1年間、一度も地元に帰ることはなかった。

 ロザリーはそんなルイを地元で待ちわびていた。
 手紙が何通も届いた。
 結びには必ず「いつ帰ってくるのか」と……

 ルイは手紙を受け取るたびに「来年の夏には帰るから」とロザリーをなだめる手紙を返した。
< 192 / 245 >

この作品をシェア

pagetop