パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 ルイは顔中くしゃくしゃにして泣いているわたしの肩を抱き寄せた。

 ただただ、悲しかった。


「そのとき、もう失くしてしまったと、ずっと思っていたんだ。人を愛する気持ちなんて」

 涙で霞む視界の先に、わたしを見つめる(はしばみ)色の瞳。

「だが、薫と出会って、人を愛する気持ちを思い出した。薫なら心の底からロザリーを悼んでくれる、そう確信できたからだと思う。だから彼女も許してくれるんじゃないかと」

 ルイは私の頬を両手で包んだ。

「ロザリー以上に、私が薫を愛しても」
「ルイ……」

「ロザリーの代わりなんかじゃない。薫は私が最も愛する人だよ」
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