パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 わたしは料理も掃除も大の苦手で、ルイのほうがよっぽど上手。
 そんなダメダメなわたしだけど、香水に関してだけは自信が持てるようになった。

 なぜかといえば、この1年、学校の課題で苦労するということが一度もなかったからだ。

 たとえば、既存の香水の名前を隠してランダムに嗅ぎ、その香りを忠実に再現するという課題。

 クラスメイトはみんな苦しんでたけど、わたしはそれほど悩まずにクリアできた。
 何しろ、香水にハマった子供のころから、遊びで同じようなことを繰り返してたから。

 でも、今回はこれまで学んできた知識重視の課題とは違う。
 問われるのはオリジナリティ。

 調香師だけに限らず、パリには才能豊かなアーティストや職人たちが世界中から集まってくる。

 それは、フランス、とくにパリが、国籍や出自や性別などに捉われず、純粋に優れたものの価値を認めてくれる伝統があるから。
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