パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 あれ、マダム、新しい香水をつけてる。
 どこかの新作かな?
 まるで竹林を歩いているような、とっても清々しい香り。

 あっ、これ、使える……かも。

「マダム、その香り……」
「気づいた? 新しく調合してみたのよ」
「とても清々しい香りですね」
「メインは〝クロモジ〟という植物のアロマなんだけど。あら、そういえば、日本由来だったわ、これ」
「その香料を少しお借りすることはできますか?」
「ええ、少し待っていてね」

 マダムは自分の調香台から茶色の小瓶を持ってきてくれた。

「日本からエッセンシャルオイルを取り寄せたの。わたくし、この香りがとても好きなのよ」
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