パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 ち、ち、ち、ちょっと、なんで急に顎クイ?
 あ、焦るって。

 こっちは、何かといえばハグやらキスやらする国の人間じゃないから。
 生まれも育ちも日本の、生粋のジャパニーズなんだから!
 まったく免疫がないんですから!

「そんなに私のことが気に入らないのか? ここに(しわ)が寄ってる」

 そう言って、空いている方の手で、自分の眉間を指さした。

 つられて見た彼の薄緑色の瞳は、自然光の下では、いっそう輝きを増して魅惑的。
 こんな美しい澄んだ目をしてるのに。
 尊大で威圧的すぎなんだってば、その眼差しが。
 
「は、離して」
 わたしはぶんぶんと左右に頭をふって、彼の手から逃れた。
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