パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
***

〈ALPカンパニー〉本社ビルはシャンゼリゼ通りに面している。
 1階と2階は『アンジュ・ルグラン』本店。
 華やかに飾りつけられたショー・ウインドウを横目で見ながら、通用口を通って、最上階の会長室を目指した。
 
 アンドロイドではないかと思うほど、容姿もスタイルも完璧な秘書の女性に案内され、会長室に入った。
 
 わたしたちが応接ソファに座るとすぐ、ジャンは自分の席に座ったまま、わたしに氷のような視線を向け、言った。

「単刀直入に言う。ルイと別れろ」

 ひぇっ。
 これぞ、まさしく単刀直入。
 いきなりばっさり切りつけられた感じだ。

 やっぱり……
 彼の口から良い話が出る訳がなかった。

 身体中の血が引いていく。
 やばい。貧血ってこんな感じかな。
 気を失いそう。
 わたしは文字通り、歯を食いしばって耐えた。
< 215 / 245 >

この作品をシェア

pagetop