パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「何がれっきとしただ」
 ジャンは吐き捨てた。

「お前たちのことを認めたふりをしたのは、単にばあさんの感傷に付き合っただけだ。だがそのばあさんはもういない。百年前の口約束なんぞ、もうなんの意味も持たない。それはお前もわかっているだろうが」

 ジャンは立ち上がると、わたしたちが坐るソファーに向かって歩いてきた。

「ルイ、冷静になって考えろ。将来にわたってお前の後ろ盾になってくれるビアンキの娘と日本人の貧乏人の小娘。妻にして、どっちが得か」

 それから、小馬鹿にしたような視線をわたしに向けた。

「……お前、女を見る目は皆無のようだな。とにかく、この女を妻にするのはやめておけ。愛人として囲うというなら、まあ、目をつぶってやってもいいが」
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