パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 ムッカーーーーーーっ!

 何、言い出すんだよ、この親父は。まったく!
 こっちが黙ってるのをいいことに言いたい放題。

 さっき引いた血が、今度は頭にのぼってきた。
 ジャンのあまりの言い分に腹が立って、恐れる気持ちはどこかに飛んでいった。

 まったく、なんでこんな人がルイのお父さんなんだろう。
 病院での態度といい、もう失礼にもほどがある。

 (この、くそ親父!)
 と日本語で叫んでやろうか、と思ったときルイが先に口を開いた。

「見る目がないのは、父上、あなたのほうだ」
 
 ルイは立ち上がり、父親の前に立って、ジャンを見下ろした。

「父上は薫の真価をご存知ないから、そんなことが言えるんだ」
「真価? 何があるというのだ。この小娘に」
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