パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「わたし、踊ったことなんてないよ……」
「適当に私の動きに合わせればいい」
 ルイはわたしの手をとり、優雅にステップを踏みはじめた。
「ふたりきりだしな」

 金色のイルミネーションが瞬く、無人の広場で。
 ルイのリードで踊る、夢見心地のワルツ。

 一生……
 ううん、死んでも忘れない。
 この夜のことは。

「いつか、ここに薫の店を出したいな。いや、実現するよ、必ず」
 わたしを抱きしめると、ルイは、耳元でそう囁いた。
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