パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
***

「あ、ルイ…………いや……」

 その夜は、ヴァンドーム広場に面しているオテル・リッツに宿泊した。
 はじめてパリに来た日に泊った、あの部屋に。

 もうずっと、あられもない声をあげつづけていた。
 わたしの隅々まで知り尽くした、ルイの指と唇に翻弄されて。

 ルイはわたしの全身、あますところなく唇を這わせてくる。
 ところどころに痕跡を残しながら。

「愛してるよ……私の薫」
 

 ホテルの部屋に入ったとたん、ルイに激しく唇を奪われ、服もあっというまに乱され、ふたりでシャワーを浴びて……

 生まれたままの姿のわたしに、ルイは〝月〟を纏わせた。

 わたしは少し仕掛けを施していた。
 ルイのコロンに合わせて、〝月〟を調合した。
 ふたつの香りが合わさって、さらに魅惑的な香りになるように。

「ルイ……もう」
「……薫」

 絡みあう視線が
 触れあう肌が
 重なりあう唇が
 混ざりあう吐息が
 そして……
 立ちのぼる香りが

 わたしたちを狂わせる。
  
 この五感のすべてが満たされた究極の夜。

 わたしたちはいつまでも、いつまでもお互いを求めつづけた……
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