パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
***

「ようやくこの日を迎えられたな」
「はい……」

 誓いの口づけのために、ルイの手がわたしのベールにかかる。
 この上なく慈愛の満ちた眼差しで、わたしを見つめる(はしばみ)色の瞳。
 
「薫、一生大切にする」
「ルイ……」
 
 彼の優しい口づけを受けながら、わたしは心のなかで、この幸運に感謝していた。
 
 わたしの全てを理解し、受け入れてくれるルイという、最良で極上のパートナーに出会わせてくれたことを……



 滞りなく式を終え、ゲストがフラワー・シャワーで祝ってくれているとき、一瞬、風が吹きつけた。
「えっ?」
「どうした?」
「ううん。なんでもない」

 たぶん空耳だ。
 風がわたしの頬を優しく撫でたとき

 ――ルイをよろしく

 そう聞こえた気がしたけれど……



       (fin)


*お読みいただき、ありがとうございました(^▽^)

 
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