パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 わたしは池のほうを向くと、欄干に手をつきがっくりと項垂(うなだ)れた。

「おい、大丈夫か?」
 彼が横から覗き込んでくる。

「ち、ちょっと、めまいが……」
 いや、めまいだけじゃない。
 動悸、息切れ、吐き気、頭痛、腹痛がいっきに襲ってきた感じ。
 深呼吸しようにも、帯がキツくてうまくできないし……

 それでもなんとか気力を振り絞って、わたしは強い口調で言いかえした。

「でも! そう言われても、イヤなものはイヤです! あなたとの結婚なんて、ぜーったいしません。借金背負ったのは父親の責任でしょ! なんでわたしが犠牲にならなきゃなんないんですか!」

 興奮しすぎて、鼻息が荒くなっていたかもしれない。
 はあはあと肩で息をして、欄干を握りしめた。
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