パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 彼は唇をわたしの耳元に寄せ、例の渋イケボイスで囁いてきた。

「薫……私のものになると言えよ。そうしたら存分に可愛がってやるから」

 ひえぇぇぇぇぇっ……。

 ぞわぞわしたものが背筋を駆けずり回る。
 さすが、恋愛の本場フランスから来ただけある。
 日本の男とはくらべものにならないド迫力(って、日本の男に告白されたのもはるか昔、中学生のときだけど)
 でも……
 日本で数えきれない女性を毒牙にかけてきたに違いない。
 じゃなきゃおかしいって。
 母国語じゃないのに、こんな口説き文句がすっと出てくるなんて。

「イヤ! 絶対イヤ!!!」
 わたしは必死で首を横に振った。
「強情だな」
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