パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「確かにありがたいお話ですけど。でも、今日会ったばかりの人に、そんな大きな借りを作るわけには……」

 うーん、と思い悩むわたしを見て、今度はまた彼が、さっきのお返しとばかりに自分の眉間を指さした。

「ほらまた、ロダンの彫像みたいな顔になってるぞ」
 彼は微笑んで、わたしの肩をぽんと軽く叩いた。

「そんなに固苦しく考えなくていい。こうして出会ったのも何かの縁だ。私にとってきみの留学費用なんてたいしたことじゃない。援助では気が引けるというなら、出世払いということにすればいい」

「うーん」

「薫の夢をサポートしてみたくなったんだよ。見知らぬ男のコロンの匂いを嗅いでしまうほどの情熱をみすみす無駄にするのも惜しいと思ってね」

 彼はいたずらっぽく目を輝かせた。
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