パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「返事、今すぐじゃなくてもいいですか?」
 わたしの表情に気持ちの変化を読み取ったらしく、彼は穏やかな顔で頷いた。

「ああ、かまわない。そうだな。返答のデッドラインは来週の水曜の17時。それでいいか?」
「はい」
 
 彼は胸ポケットから名刺を差しだした。

「名前を言ってくれればすぐに繋ぐように、会社の者に言っておくから」
「わかりました……」
「よし、じゃあ、今日のところは、話はここまでだ」

 彼は、(てら)いのない笑みを浮かべ、右手を差し伸ばした。
 わたしは、少し躊躇(ためら)いながらも、その手を握った。

 大きくて暖かかった。
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