パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「薫、頼むよ。もう銀行には支払いのあてができたって言ってしまったし。ベルナルド家からの融資がないと、この家も売るはめになる。薫が彼と結婚するしか、うちが安泰で暮らせる道はないんだよ」
「そんなこと、言われても……」

 なんだかんだ言って、結局、お金が大事なんじゃない。

 これ以上、このふたりに何も言っても無駄そうなので、わたしは部屋にこもって考えることにした。

  それにしても……

 創業家の跡取りでお坊ちゃんのパパが経営者向きじゃないとは常々思ってはいたけれど。
 でも、だからといって娘の結婚だけが安泰の道って。

 情けないと思わないのかな。
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