パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 だからこうして、20歳になった薫と会うこととなった。
 12歳も年下の薫と。
 わたしにとったらほんの子供、まだあどけない少女じゃないか。

 この忙しいときに、なぜそんな無駄な時間を割かなければならないのか。
 約束の場所であるホテルに到着したときのわたしは、不機嫌の極みだった。

 そう。
 この腕に薫が飛びこんでくるまでは。

 これまで出会ってきた日本の女性は、自己主張しない大人しいタイプが多かった。
(なかには、露骨な財産狙いもいないではなかったが)

 日本人女性の奥ゆかしさは賞賛に値するものだが、自分のパートナーとしては、物足りない気がしていた。
 だから、会うだけは会って、私の裁量で久世家の借金の援助だけ約束して、縁談はなかったことにしてもらおう。

 そう考えていた。
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