パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 とにかく……
 もう少し薫のことをよく知りたい。
 このまま、別れるのは惜しい。
 そう強く感じ、留学を援助すると提案していた。

 いや……違うか。
 薫に興味を覚えたのは、その姿を一目見た瞬間。
 軽やかに宙を飛びまわる蝶のように、着物の袖を翻していて駆けていく姿を見たときだ。
 
 結いあげられた黒髪が乱れるのもかまわず、大きな黒い瞳をきらきらと輝かせているこの蝶を、わたしの手のなかで遊ばせてみたいと……
 
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