パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 手荷物検査を終えると、ベルナルドさんは言った。
「薫、ここからは日本語禁止だ」
「ひえ」
 そ、それはまた、酷なことを。

「当然だろう? これからはフランス語で生活していかなげればならないんだぞ」
 彼はわたしに一瞥をくれると、さっさとゲート目指して進んでいった。

 厳しいお言葉。
 でも、おっしゃる通りです。

「ま……Attendre(待って)」

 フランス語は中学生のときから勉強しているし、この半年間は語学学校に通い、ラジオ講座も1日も欠かさず聞いていたけれど。 
 いきなりのオール・フレンチ。
 だ、大丈夫かな?
 急に先行きが不安になってきた……
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