パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 日本の上空を離れたばかりのころ。

 「機内食」などと言っては申し訳ないような、三ッ星レストラン級の豪勢な食事をとりながら、ベルナルドさんはわたしに尋ねてきた。

「そういえば訊いてなかったが、薫はどうして香水に興味を持ったんだ?」
 
「ahー」
 よし、フランス語で説明してみようと思い、話しはじめてはみたけれど……
 今の実力では、話がややこしすぎて、すぐに無理だと悟った。
 わたしは上目遣いで彼を見て、おずおずと言った。

「Puis-je parler en japonais?(日本語でもいい?)」

 でも、ベルナルドさんはお皿から目を上げ、わたしをちらっと見て、それからしれっと言った。

「non(だめ)」

 わー、やっぱドSだよ、この人。
 本性隠してたんだ。
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