パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 しどろもどろで話しはじめたわたしの情けない顔を見て、彼はクスッと笑いながら、今度は日本語で「嘘だよ。いいぞ、日本語で話しても」と言った。

 くーーーーっ、また、からかわれた。
 くやしい!
 いつか仕返ししてやる。

 と、心のなかでは思ったけど、今はまだ倍返しされそうなので、おとなしく香水と出会ったきっかけを話しはじめた。

「はじめて香水に出会ったのは、小学校2年生のときなんです」
 
 世の中にこんなに魅力的なものがあるのかと、その夜は興奮して眠れなかった。

 でもなぜ子供のわたしが、そんなに香水に惹かれたのか。
 それは、祖母のおかげ、いや祖母のせいだった。
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