パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
(ほら、言った通りでしょ。好きにならないはずないんだから)
 と、目の前に楓の得意げな顔が浮かんでくる。

 ち、違うって。
 別に好きとかそういうのじゃ……

 と、あらぬ方向に気持ちが行きそうになるのをあわてて引き留めた。

「薫のフランス語もこのぐらいにならないとな」
「いや、それは無理ですって」
「おや? やる前から無理なんて言うのか、薫は」

 うーーーーーーっ!。
「が、頑張ります」

 もう、なんか超スパルタ家庭教師と旅してるみたい。
 先が思いやられる……

 これ以上、まずいこと言われても困るので、わたしは先を続けた。
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