パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます

2・好待遇の見返りって、あり? なし?

 空港の出口では白のリムジンが(あるじ)の到着を待っていた。

 座席はもちろん、革張りのソファー仕様。
 ただのふかふかではなく、適度な弾力で身体を心地よく包む、最高の座り心地。
 そしてテーブルにはシャンパンとパステルみたいにカラフルなマカロン。

「薫の初渡仏を祝して」
 
 ベルナルドさんは自ら、シャンパンをグラスに注ぎ、わたしに手渡した。
 そして自分のグラスにも、黄金色に泡立つ液体を注ぎ、言った。

À tes yeux(ア・テ・ズュ)(君の瞳に乾杯)」
 
 わ、気障(きざ)もここまでくると立派。
 だけど……このセリフがここまで似合う人もそういない。

 午後6時を過ぎているけれど、パリの今の時期の日没は午後9時ごろなので、まだまだ真昼なみに明るい。

「市内まで40分ぐらいで着くから」
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