パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「わたし今、本当の本当にパリにいるんですね」

 お腹の底から感動が突きあげてきて、もう自分でも何を言ってるのかわからなくなっていた。
「早くエッフェル塔行きたいなぁ」

 ずっと窓にへばりついているわたしに向かって、彼は言った。 

「これから寄ってもいいんだが。今日は疲れているだろう? 今度の休みの日に連れていってやるから」

「ご心配なく。パリの地図はしっかり頭に入っていますから。ひとりで大丈夫です!」

「いや。私が一緒に行ってみたいんだよ。薫がエッフェル塔と初対面するとき、どんな顔をするのか、ぜひ見てみたくてね」

 思わず振り向いて、彼の顔を見てしまう。

 目を細めてこっちを見ているまなざしはなぜか、とても優しい。
 いつものからかい口調のベルナルドさんとギャップがありすぎて。
 なんか調子が狂って、鼓動がせわしなくなってくる。

 いや、この動悸はシャンパンの酔いが回ったせいだ。
 そう思っておくことにしよう。


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