パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
***

 案内されたのは、ホテル最上階の、全体をペールトーンでまとめた可愛らしい内装の部屋だった。
 でも、家具や調度はとてもクラシカルで、歴史の重みも感じさせる。
 コーラルピンクのゴブラン織りで統一された、どっしりとしたカーテンとベッド上部の天蓋が豪華さを演出している。

 窓からは緑の濃い中庭が見え、遠方にはエッフェル塔も見える。

「マドモアゼル、御用がありましたらなんなりと」
「いえ、今は特にありません」
「では、御用の際には、この電話でお呼びつけください」

 そう言って、恭しく一礼して去っていった。


 ああ、通じた。やった。
 良かった。
 ほっと胸をなでおろす。
 ベルナルド先生のスパルタ・レッスンの成果が出たかな。
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