パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 もう、この人、わたしが考えていること、何でもお見通しなんだから、イヤになる。
 いや、それだけ分かりやすいってことか、わたしが。

 気を取り直して、彼の前まで行き、そして頭を下げた。

「あの、ありがとうございます。でも、まさかリッツに泊まれるなんて想像もしていなかったんで、正直戸惑ってます」
 彼は少し首をかしげた。

「だってどこかには宿泊しなければならないだろう?」
「いえ、でも、リッツだなんて思っても見なかったので……」
「そう? 私の常宿はここだから他は思いつかなかったんだ。ああ、そんなことより食事に行かないか? 面倒ならルームサービスを頼んでもいいが」

 食事の相談に来てくれたのか。
 まったく……
 わたしは自分にツッコミを入れた。
 自意識過剰すぎるって。
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