パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「いえ、機内食をたくさんいただいたので、あまり食欲がなくて。どっちもいらないです」
「夜中に腹がへっても知らないぞ……お、そうだ。いいものがある」
 ちょっと待っててくれと言って、彼は自分の部屋に戻っていった。

 しばらくしてから、白のプラスチック容器を両手に持って、戻ってきた。

「これならどう?」

 カップ麺だ。

「わ、それは食べたい!」

 わたしは思わず大きな声を上げた。
 その反応を見て、ベルナルドさんは〝だよな〟という顔で頷いた。

「こっちに戻ると、なぜか無性に食べたくなる。東京ではあまりそんなことないんだが」

「お湯沸かしますね」
 わたしはいそいそとポットでお湯を沸かし、カップに注いだ。

「ああ、箸忘れた」
 そう言って、彼はまた自分の部屋へ。
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