パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 カップ麺のいい匂いが部屋に充満してくる。
 なんというミスマッチ。
 この豪奢な部屋とベルナルドさんと、カップ麺。

 笑いがこみあげてきた。
「はい」
 箸を手渡してくれた彼の顔を見て、耐え切れなくなって吹き出してしまった。

「何がおかしいんだ?」

「だって、この部屋にも、ベルナルドさんにもぜーんぜん似合わないから。カップ麺」

「そうか?」
 彼のきょとんとした顔を見て、わたしはまた笑う。

「そうですよー。これほどのミスマッチってない気がするんですけど」

 わたしの笑いが収まるのを待って、彼は言った。

「そうだ。薫。言っておくが、これからはムッシュ・ベルナルドではなく、ルイと呼びなさい」

「でも……」
 彼がわたしにしてくれている、数々のことを思うと、畏れ多くてとてもファーストネームでは呼べない気がするんだけど。

「ベルナルドでは他人行儀すぎるだろう。いいかい。薫は、表向きはあくまでも私の婚約者だからね」

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