パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 そのなかにあって、ルイはすっかりお仕事モード。
 チャコールグレーの三つ揃いのスーツに臙脂色のタイ。
 相変わらず、おしゃれ。
 何を着ても似合う。
 
 彼はせわしなくコーヒーを飲みクロワッサンだけ食べると、立ち上がった。
「ほったらかしですまないな。帰ったばかりで仕事が山積していてね」

「大丈夫。単独行動、大歓迎です。パリの地図ならしっかり頭に入ってますから」
 わたしは自分の頭を人差し指でつんつんとつついて見せる。

「頼もしいな。だが、着いたばかりだ。張り切りすぎるとバテてしまうぞ」

「大丈夫。体力はあるんで。若いから」

「それは……暗にわたしが年寄りだと言っていると聞こえなくもないが」

 ルイは苦笑しながら、仕事に出掛けていった。
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