パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
***

 冷たい感触を額に感じて、ゆっくり目を開けた。
 心配そうにのぞき込んでいるのは、薄緑の瞳。
 
「ルイ……」

 彼はわたしの額に、濡らしたタオルをのせてくれていた。

「冷たくて気持ちいい……」

「具合はどうだ? 電話をかけても出ないから心配になって、マスターキーで開けてもらった」

「もう……大丈夫です。よく眠ったから……」
 声がかすれている。喉も痛い。

「やはり、無理しすぎて疲れが出たんだろう。医者を呼んだから入ってもらうが、いいか?」

「すみません……ご迷惑をおかけして」

 あーあ。
 また株を下げちゃった。
 張り切りすぎて、風邪ひいて、熱出すなんて。
 これじゃ、子供(ガキ)って言われても、まるっきり反論できない。
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