パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 お医者さんの診断は風邪とのこと。
 扁桃腺がだいぶ腫れているが、薬を飲んで寝ていれば治るだろうと。
 念のため、インフルエンザの検査もしてくれたけれど、陰性だった。


 お医者さんが帰ってからも、ルイは自分の部屋に戻らず、傍についていてくれた。

「今、薬をもらいに行かせている。なにか食べたいものはないか?」
「食欲はぜんぜん。あ、すみません、じゃあ、ミネラルウォーターをいただけますか」
「ああ」

 ルイは冷蔵庫からペットボトルを出し、コップに注いで持ってきた。
 わたしはヘッドレストにもたれた。
 起きあがると頭がガンガンする。

 でも、水は美味しかった。
 からからの喉を潤してくれた。
「おいしい……」

「そうだ、いいこと思いついた」
 ルイはすぐそばの電話でフロントに何か頼んだ。
 でも早口すぎて、何を言っているのかよく聞き取れなかった。
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