パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「横になっておけよ。私には構わなくていいから」
 
 それからしばらく、彼は窓際のソファーに座って、スマホをいじっていた。

「ルイ……あの、ありがとうございました。風邪がうつるといけないので、もう部屋に戻って」
 わたしが声をかけると、ルイは立ち上がり、ベッドのそばまで歩いてきた。

「そんな気は使わなくていい。ひとりでは心細いだろう。着いたばかりの異国で病気にかかったんだ」
 そう言って、汗で額にくっついていたわたしの髪を耳にかけてくれた。

 だから……
 また熱が上がっちゃうって。
 そんなことされると……
 熱で潤んだ目で見つめると、ルイは柔らかく微笑んだ。

 そのとき、ドアベルが鳴った。
「おっ、思ったより早かったな」

 ルイがドアを開けるとドームカバーをかぶせた皿をワゴンに載せて、ベルボーイが部屋に入ってきた。
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