パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「Merci(ありがとう)」
 そう言って、チップを渡すと、ルイは自分でベッドの横までワゴンをもってきてくれた。
 
「ほら、厨房に頼んで作ってもらったんだぞ」
 そう言って、得意げな顔でドームカバーを外した。

 出てきたのは、真っ白な……
 リゾット?
 あ、お粥……だ。

「日本では具合の悪いとき、これを食べるんだろう?」
「すごい……ここフランスなのに」
「中国人や日本人の宿泊客も多いからな。朝食に出すそうだ。どうだ、食えるか?」
「はい……いただきます」

 ルイは笑って頷くと、ベッドの縁に腰をかけ、粥の皿を手渡してくれた。
 湯気とともに、ふわーっとご飯のいい香りが漂ってきた。
 
 そのとたん。
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