パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 初めから一方通行だとわかりきっている、ただ苦しいだけの恋になんて堕ちたくない。
 
 でも、もうこんなにも胸を締めつけられている。
 息が詰まりそうなほど。
 もう手遅れかも……

 いや。
 わたしは心のなかで頭をぶんぶん振った。

 これは単なる一時の気の迷い。
 風邪をひいて心が弱っているから、そんなことを思ってしまうだけだ。
 
 わたしは無理やり、自分にそう言い聞かせた。
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