パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
***

 翌週。
 ようやく16区のアパルトマンのリフォームが終わり、わたしたちはそこに移ることになった。

 19世紀中葉に建てられた歴史の重みを感じさせる建物の、3,4階部分すべてがルイの持ち部屋だった。
 階段でつながっているので、アパルトマンのなかに二階建ての家が入っているような感じ。
 
「悪かったな」
「えっ、何が?」
「モンマルトルじゃなくて」

 インテリア雑誌のグラビアそのままの、息を飲んでしまうほど素晴らしい内装のリビングのソファーでお茶を飲みながら、ルイはそう言って、にやっと笑った。
 
 また。
 ……ルイって、本当に、わたしが前に言ったこと、しっかり覚えてるんだよね。

 初めて会った日、どさくさに紛れて叫んだ「金髪イケメンとモンマルトルのアパルトマンでラブラブの日々を送る」というくだりもしっかり覚えていたらしい。
 あの日のことを思い出すと、いまだに顔から火を吹きそうになる。
 
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