国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「だってこれから俺ん家に住むんだから一応親にも言っておかないとな、心配かけられねぇだろ?」


 住む? 俺ん家に?


「えぇ!? 私ここに住むんですか!?」


「当たり前だろ、住まないでどうやって俺の面倒見るんだよ。ほらもう行くぞ」


 展開の速さに思考回路が追いつかない。私が呆気に取られている間に雷斗くんは元気な左手で私の手を掴み、せっかく登ってきたエレベーターをまた降りる。


「あ、あの……どこへ?」


「お前ん家、タクるから荷物もまとめて持ってこいよ」


「タクる?」


 タクるとは何だろう?


 雷斗くんはくくっと笑うと「タクシーで行くって事だよ」と言った。多分お金持ちであろう雷斗くん、お金持ちの用語は私には分からないものばかりだ。


 マンションの前に既に待機していたタクシーに私達は乗り「羽花の家の住所は?」と聞かれ答えると静かなエンジン音のタクシーはゆっくりと動き出した。

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