国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
 唇を離し羽花を自分の胸に抱き寄せる。


(キスした後の可愛い顔なんて誰がてめぇに見せるかよ)


「この子俺の彼女なんで触らないでいただけます?」


 ギロリと睨みつけると「すいません」と小さな声で謝ったのが聴こえた。


「羽花」


 ん? なんだか小刻みに震えているような……


「ら、雷斗くんの……バカぁぁぁぁぁぁッ」


「は? っつてぇ……ちょ、羽花!」


 俺の胸を押し返して走り去っていく羽花。ば、バカって初めて言われたなぁ。


「雷斗、公開キスは初心な羽花ちんにはハードル高すぎたっしょ」


「いや、つい……とにかく追いかけないと」


 走り去っていった羽花の後を追いかける。人が多いお陰もあってかすぐに追いついた。


「羽花、待てって!」


 腕を掴んで引き止めた。止まった羽花が振り返ると顔を真っ赤に染め上げ、瞳にはうすら涙を浮かべている。


(っつ……めちゃくちゃ可愛いんですけど!!!)


 涙を浮かべた瞳が急にキッと睨んできた。羽花がこんなに力強く睨むのなんて初めてだ。


「雷斗くんのバカ……皆さんの前で、恥かしいじゃないですか! 恥ずかしすぎてもう教室にもどれませんっ」


「仕方ないだろう、あの男の客、俺の羽花にベタベタ触りやがって。だからつい俺のだって思い知らしてやりたくなって……ごめんな。嫌だったよな」


 自分勝手に行動してしまったことを少し反省した。俺はいつも羽花のことになると後先考えず突っ走ってしまう。もっと、大人にならないとな……

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