国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
 去年は一人で文化祭を回る勇気もなくてひっそりと図書室で時間を潰してたっけ……


 雷斗くんと出会ったお陰で私の人生は180度変わった。もちろん良い方向に。


 チュロスのお店も大人気で少し並んだ。並んでいる間も私から離れることなく雷斗くんはすり寄ってくる。お陰ですれ違う人、すれ違う人に「めっちゃバカップル」と何度耳にしたことか。


「シュガーとチョコがあるってよ。羽花はどっちにする?」


「ま、迷いますね。この際だから二本、いや、それはちょっと贅沢すぎますね。ここはチョコにします!」


「じゃあ、シュガーとチョコ一本ずつでお願いします」


 雷斗くんが店員さんに頼んでくれ、財布を……ん? 財布?


「た、大変なことに気がついてしまいました。お財布が教室ですっ! 急いでとってきますね!」


「はい待った。お金のことは気にしなくていいから。今日は初めてのデートなんだし、俺に任せなさい」


「そんなっ、それは悪いです。じゃあこの分はお借りしてすぐにお返ししますね」


 んんっ、と店員さんに咳払いをされ「お待たせしました」とチュロスを渡された。雷斗くんは笑いながら「いちゃついてたら怒られちゃったな」なんて言ってましたけど、さっきのやり取りのどこがいちゃついてたんでしょうか? 恋愛とは、難しいです。

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