国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「お、お父さん……?」


 完全にフリーズしてしまったお父さんは呼んでも反応しない。


「話は聞かせてもらいました」


 玄関ドアからおたまを持ったエプロン姿のお母さんがスッと出てきた。


「お母さん、あのね、これには色々事情があってっ」


「羽花」


 ドンっと力強く名前を呼ばれて「はいっ」と背筋が伸びる。


「うちに雷斗くんの治療費を出せるようなお金はないわ。それに話を聞けばあなた事故に合いそうだったの? そんなこと一言も言ってなかったじゃない」


「そ、それは……ごめんなさい」


「もしかして昨日自転車がパンクしてたのは事故のせいなの?」


「いや、事故のせいと言いますか、なんと言いますか」


「とにかく、羽花。雷斗くんの身の回りのお世話がんばるのよ」


「あ、うん、頑張ります」


 ……って、ええ?? いいの!? 娘が同じ高校のしかも全く見知らぬ男子の家に住むんだよ!?


「あの、えっと〜」


 雷斗くんをチラリと見ると満足そうに口角を少しあげている。

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