国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「翔ちゃん」


「羽花、羽花の事を守ってやれるのは悔しいけど俺じゃなくてアイツなんだよな。最近の羽花はイジメられる前の羽花に戻ったみたいに元気でキラキラしてた。ずっと学校じゃ見られなかった笑顔も見うようになって、そやって殻から出るのを助けてくれたのはアイツなんだもんな。俺結局なんにも気づいてられなくて、力になってやれなくてごめんな」


 また、無理矢理笑って私の頭を撫でた。その手はとても力なく弱々しい手のひらだった。


「翔ちゃん、翔ちゃんはずっと私の味方でいてくれたよね。あの時、翔ちゃんがイジメられてる私を庇ってくれたこと今でも鮮明に覚えてるよ。すっっごく嬉しくて、あの時は翔ちゃんの存在が私の心の支えだった。本当だよ」


 少しずつ声が震えてくる。


「で、でもね……」


「アイツのことが好き、なんだろう」


「うん、好き。好きで大切。もちろん翔ちゃんのことも大切だよ、で、でも大切の種類が違くて翔ちゃんは家族みたいな、大切な存在、でも雷斗くんは……」


 なんとなく言葉が詰まる。


「恋ってことか」


 先に言われてしまいコクリと頷いた。


「だよな……ずっと小学生のころから羽花を見てきたんだ。羽花がアイツのことを好きになってる事くらいすぐに分かったよ。分かってたけど認めるのが嫌でずっと逃げてきた。逃げてきた結果、今日はっきり思い知らされたよ。もう羽花は俺を必要としていないって、俺は羽花のあんなに幸せそうに顔を赤くした顔なんて見たことない。あぁ、やっぱり俺じゃダメなんだなって。でもさ、最後に0,1%の可能性をかけて悪あがきしちまったよ。気持を伝えられてすっきりした。俺本当に羽花のことが好きだったんだ」


 ははっ、とカラ笑いする翔ちゃんに胸が痛んだ。痛くて痛くて、でもここで私が泣いてしまうのは違う気がする。きっと泣きたいのは翔ちゃんの方だ。


< 159 / 225 >

この作品をシェア

pagetop