国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
 私の有無を聞かずに手を自分のお腹までひっぱり私は雷斗くんに後ろからがっちりと抱きしめている体勢になってしまった。雷斗くんの背中に私の身体がぴったりと密着している。自分からこんなにくっつくのは初めてでさっきから激しく鳴っている心臓が身体から飛び出してきてしまいそうだ。


(こ、こんなにくっついていたら絶対私の心臓の音が雷斗くんに伝わってしまっていそうですっ……は、恥ずかしい……)


 私がこんなにも緊張して恥ずかしがっているのに雷斗くんは平然と自転車を漕ぎ出した。


 自分が漕ぐよりも早いスピード。身体に感じる風が少しだけ熱を和らげてくれる。


「ははっ、すげぇ心臓の音」


「なっ……」


(やっぱり聞こえてたぁぁぁぁぁっ)

 恥ずかしすぎます。恥ずかしすぎるけど……絶対離しませんっ。


「あー、久しぶりだなぁ、この風を感じる感じ。もうずっとバイクにも乗ってないしな〜」


「怪我が治ったからまたバイク乗るんですか?」


 正直言ってちょっと怖い。また私の時みたいに転んで怪我でもしてしまったらと思うとゾッとする。あの時は本当に怖かったから。


「いや、もう乗らないかな。どうせ十八になったら車の免許もとれるし、バイクに乗ってたのはストレス発散してただけだから。今はもうストレスも溜まらないし、疲れた時は羽花を抱きしめれば元気でてくるしな。人ってハグすると元気になるらしいぜ」


「ハグ、ですか」


 雷斗くんがもうバイクに乗らないと言ってくれてホッとした。ホッとしたけど、これからはたくさんハグをするってことですかね……? でも雷斗くんが元気になってくれるのは嬉しいし、私も雷斗くんに抱きしめてもらうのは恥ずかしくて緊張してドキドキすれけど、大好きです。

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