国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜

立ちはだかる壁

 ピッと玄関ドアを開けると「はっ? まじかよ」と雷斗くんが慌てて部屋に入っていく。みると玄関に見覚えのない男性の靴があった。


(だ、誰でしょうか?)


 私もリビングに向かうと大きな声がドアを突き抜けてきたが、なんて言っているのかまでは聞こえない。


「雷斗くん、どうしたのですか……?」


 リビングのドアを開いて部屋の中を覗き込む。


「親父、なんでいいんだよ!」


 ……お、おやじ? まさか雷斗くんのお父さんですか!?


 スーツを身にまとった男性は我が物顔でソファーに座り長い足をくんでいる。その姿は堂々としていて大人の男性の色気というものがダダ漏れだ。雷斗くんと同じ綺麗黒髪に、やっぱり親子だからでしょうか目元もよくにている。


(か、かっこいいです。雷斗くんも大人になったらこんな感じなのでしょうか)


 座っていたお父さんが口を開いた。


「なんでって、自分の息子が一人暮らししている部屋に親が様子を見に来ちゃいけないのか? 私は雷斗が一人暮らしをしていると思っていたんだが、まさか女なんて連れ込んでいないだろうな?」


 ギロリと雷斗くんを睨みつけるその目はとても鋭く、冷たかった。


(こ、これはやばいというやつではないでしょうか!? 女って私のことですよね!?)

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