国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「親父、いくらなんでも親父だからって羽花の事を悪く言うのは許せない。俺はなんて言われようと羽花と分かれる気はなし、それでも別れろって言い続けるのなら俺は会社なんか継がない。高校を卒業しても副社長には就任しないから」


 話し方は至って落ち着いている。けれど真っ直ぐにお父さんを見る雷斗くんの目はギラギラと怒っていた。


「そんなにその娘のことが本気なのか?」


「あぁ、本気だよ。俺は羽花と一緒じゃない未来なんて想像できないね」


 こ、こんな時にときめいちゃ駄目なのに、こんなに嬉しい雷斗くんの言葉を聞いてしまったら嬉しくて頑張ってせき止めていた涙はあっけなく流れ出してしまう。頬を流れる涙を見られないように必死で拭った。


 はぁ〜と、お父さんの深い溜息。ソファーに肘掛け顎を乗せて呆れたような顔を見せる。


「そういった頑固なところは死んだ母親にそっくりだな」


 ……死んだ母親。雷斗くんのお母さんが亡くなっていたなんて知りませんでした。

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