国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「ばあちゃっん!?」


 へ? ばあちゃん? 雷斗くんの声、だよね?


 いつの間にかあの人だかりの中から抜け出してきたようで雷斗くんは目を大きくして驚いた顔で私達の元にやってきた。


 それに続いて雷斗くんのお父さんも慌てた様子で「会長、何をなさっているのです」と、こっちに来た。これって、まさか、もしかしなくても……


「ふふ、何って私の秘書が羽花ちゃんに助けてもらったからお礼を言いに来たのよ。それに羽花ちゃんにも会いたかったしねぇ。なに? 自分の会社のパーティーに顔を出しちゃまずかったかい?」


 やややややっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ。


 まさか雷斗くんのおばあちゃんだなんて全く知りませんでした。


「羽花ちゃん? え、羽花とばあちゃんって知り合いだったのか!?」


 物凄く驚いている雷斗くん、だけどそれ以上にお父さんが驚いている。雷斗くんのおばちゃんってっことはお父さんのお母さんってことですもんね……


「あ、あのっ、おばあちゃんはバイト先の常連さんで、その、えっと……」


「でもまさか雷斗の彼女が羽花ちゃんだなんて驚いたわぁ。でも凄く嬉しいわ、羽花ちゃんなら大歓迎よ、ね?」


 私の両手を取り、温かなおばあちゃんの手に包まれる。優しくて、温かい。その触れ方が、温もりが雷斗くんに似ていた。太陽みたいな笑顔も。

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