国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
五十周年パーティーも無事に終わり、ホテルのロビーで雷斗くんと合流すると雷斗くんは疲労困憊で疲れ切っていた。なんでも会場の真ん中で堂々と交際認めてください宣言をしてしまったものだから色んな取引先の人や、会社の役員の人たちに質問攻めされたそう。同じような顔でお父さんも疲れきっていた。
「お、お父さん、雷斗くんお疲れさまでした」
「すげぇ疲れたよ。親父、もう帰っても大丈夫だよな?」
「ああ、雷斗も羽花さんもお疲れ様。疲れただろう、帰ってゆっくり休みなさい」
「あのっ、お父さん! 本当にありがとうございました。私精一杯努力します!」
勢いよく言ってしまった私にお父さんは柔らかな笑みを向けてくれた。
「はは、もうそんなに力を入れなくていい。お前たちの本気は伝わってきたからな、これからも仲良くやっていくんだな」
ずっと我慢していた涙が壊れてしまった蛇口のように流れでるのを止められない。こんなに優しい言葉をかけてもらえるなんて。漆黒の瞳、太陽のような優しい笑顔、意地悪だけどこんなにも優しいところ、やっぱり二人はよく似た親子だ。
なかなか言葉にならない「ありがとうございます」を伝えるとヒラリとを降って帰っていってしまった。