国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「じゃあ俺片手で頭とか身体洗っちゃうから後で背中洗うのと流すのだけ手伝ってもらえる?」


「わ、分かりました。ココに待機しているので呼んでください」


「おけ、サンキューな」


 ガチャンと扉の閉まる音が聞こえ崩れ溶けるようにその場にしゃがみこんだ。


「これがしばらく毎日続くなんて……途中で私死んでしまうかもしれないですよ……」


 鏡に写った自分の顔はゆでタコよりもさらに真っ赤だった。


「羽花〜流して〜」


(は、早くないですか!?)


「羽花〜?」


「い、今行きますっ」


 浴室のドアを開けるとムワンと熱気が扉の外へ逃げ出した。右手を庇い泡だらけの雷斗くんはお風呂の椅子に座って私を待っている。


「お、お、お、お待たせしました。お背中流させていただきます」


 雷斗くんは爆笑しながら「よろしく」なんて言うけれど私はまったく笑えない。男の子の肌に素手で触るなんて……


(ええええいっ! やるしかない!)


 ボディーソープを取り背中を洗う。もう失神しそうなくらい恥ずかしい。初めて触る男の子の背中は思っていたよりも広くて固かった。


「じゃ、じゃあまず頭から流しますので、私も気をつけますが、右腕気をつけてくださいね」


「はいよ」


 顔を上にあげ雷斗くんがギプスで固定されている右腕を出来るだけ身体から離してくれたので、弱めの水圧でなるべくお湯が跳ねないように優しく流した。

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